木曜の男、キタでございます。
日本は本当に大変な事になっておりますね。
被災された方、心よりお見舞い申し上げます。
そして、行方不明者が生存されていること、
これ以上余震が起きない事、
また、災害がこれ以上増幅しないこと、
心から心から願っております。
ブラジルでも連日、東日本大震災をテレビで報道しております。
(最近は放射能関連での報道が中心かと思われますが…)
私はよくバール(バー)で昼食をとっているのですが、
その間もテレビには日本の惨状が流れております。
ブラジルは自然災害(人的災害??)というものが洪水位しかなく、
震災や台風が全くと言っていいほど、ない土地です。
なので、バールにいるブラジル人は口を空けた状態で、テレビに釘付けです。
震災の報道が流れると、騒がしく私語をしていたブラジル人も、
話をやめて見入っています。
地震と比べるのも、また被害状況などと比べると規模や性格が異なりますが、
私も過去に8・6水害という、自然災害に見舞われた事があります。
(8・6水害とは?)
床上浸水で家具や電化製品はもちろん、その他全てがあっという間にゴミと化しました。
家族は特に怪我などもなく、命の危険からは逃れられたのですが、
特に大変なのは、災害の後片付けです。
洪水は泥も油もいっしょに運びます。
今回の津波だったらなおさらの事と思います。
生活必需品のほとんどがゴミと化していて、ゴミじゃないものを見つける方が困難です。
それも、洗い流せるレベルではない汚れです。
いや、洗い流したくても、水が出ないのです。
2,3日で水が出るようになったとしても、
風呂を溜めるのに3時間以上もかかりそうな程度の水量しか出ないのです。
(水の恐ろしさと同時に、水の有り難さも感じます。)
災害の翌朝に家の惨状を見て、母は絶望していました。
何から手をつけていいのかも分かりません。
今まで、培ってきたものを一夜で全て失っているのです。
もちろん、そこに住めるような状態ではありません。
近所の人が好意で住まわせてくれましたが、
口には出さないけれど、早めに出なければなりません。
かと言って、出て行くあてもなかなか見つからないのです。
親戚が手伝いに来てくれましたが、
片付けもあるので、遠くにはいけません。
日も暮れてくると光が必要ですが、当然無いのでロウソクの揺れる火を頼りに作業します。
疲れた体で、やっと空いてるホテルの一室に泊まります。
そして、ホテルを転々としながら落ち着かない日々を過ごします。
私たちは、夜を明かせる場所が確保できましたが、
今回の震災では、想像もつかない寒い場所で夜を明かしたりするのでしょう。
きっと、私達が経験したストレスなんて比較にならないと思われます。
街には片付けのゴミが溢れ、異臭を放ち、
車が通る度に乾いた泥が砂埃となり、街を曇らせます。
報道のヘリコプターもうるさくて、目障りに感じます。
放心状態で生活を再建する方法なんて、こんな状態で考えられるハズもありません。
そんな中で、再建が進んだのは家族・友人・知人・他人の存在です。
(私達の場合、2階や3階以上の、浸水していない近所の方が手伝ってくれましたが、
今回の震災は、一帯が被害に合っているようなので、自分の生活さえ確保できない、
ボランティアがかけつけられても、きっと迷惑になるかと思います。)
まずは、汚れてるけど大切な物・大切だけどゴミとなってしまった物を分け、
どんどん捨てていくのです。
家具や本・畳は水を吸って、信じられない位重くなります。それを解体し運び出します。
こんな時に必要なのは力仕事です。
(泥には糞尿も混じっており、なおかつ足場も廃材や散乱した物で、
ケガをする可能性が高くなり、何よりケガをした後の破傷風が一番怖いのです。
薄手のスニーカーなどはもっての他で、ケガをされると余計な心配や作業が増えます。)
ところが、どんなに使い物にならなくても思い出深い物は捨てる事を躊躇ってしまいます。
家主や持ち主は異臭を放つその物を捨てる決断力がありません。
それでも捨てなければ、何も進まないのです。
それを助言する人も必要です。でも、やみくもに捨てられても、
「所詮、他人のモノだと思って!」って悪気がないのは分かっても、そう思ってしまうんです。
写真やアルバムは泥で接着剤を使ったかのようにくっつき、とても元の状態にはなりません。
今までの人生の思い出を写真では振り返る事ができなくなります。
実はこれが最後に一番辛かったかもしれません。
遠い親戚から、友人の友人まで片付けを手伝いに来てくれました。
実際に被災した自分たちが何をしたか覚えてません。
それ位、放心状態でただ黙々と捨てる作業をしていたと思います。
そんな私達を周りがリードして助けてくれたと思います。
そうしなきゃ、呆然と立っていることしかできない状態なのです。
何からすべきなのか、全く考えられないのです。
数ヶ月がたって、生活が落ち着いてきた時に、当時の事を振り返る余裕ができますが、
その考える余地や思い出す余裕が生まれると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状に
それだと知らずに苦しむのです。
今の状況は、まだ行方不明者も多く、命が最優先される状況で、
ボランティアなど役に立てる状況ではないかもしれません。
しかし、復興の時は必ず来るのです。
そんな時、メディアが騒がしくなくなった時こそ、
ボランティアの力が必要になり、役に立ってきます。
このように、簡単には片付けられない自然の猛威ですが、
それでも得られるものは、「人への感謝の気持ち」です。
たくさんの人に助けられ、一人では生きていけないことを学び、
心折れそうな時に、接木になってくれる人の存在です。
これは、本当に将来の自分の人生の糧となる経験です。
日本は言わずと知れた、自然災害の多い国です。
だから、どんな困難にも耐える人格が育ったのでしょう。
海外のメディアは、「なぜ、こんな時に暴動もなく、冷静に、
強奪もせずに助け合えるのだ?」と、
不思議な行動をする民族に驚いており、感動しています。
これは日本人の我慢という、特異な性格だと思います。
それは時にメンドクサイ性格だとも自覚します。
でも、それは世界が驚嘆する程の精神の強さとも言えます。
超回復ってありますよね。
筋トレによって痛めつけられた筋肉は一度壊れますが、
前回の筋トレ開始時より、筋量が増えて回復します。
それを繰り返す事によって、筋量や筋肉は増えて強くなっていきます。
日本や日本人はこの経験によって、前より強くなると信じています。
起こった出来事は、リセットできないけれど、
失ったものは大きくても、未来は今より明るくなるハズです。必ず。
私なんて今の状況で、何もできないですが、
私は今、私にしかできない目の前の仕事を全力で頑張ります。
ブラジルにいる日本人だけではありません。
日系人も応援しています。
ブラジル人も応援しています。
未熟な私が代弁する事が間違っているかもしれません。
巷に溢れてる言葉でしょうが、代わる言葉が見つかりません。
ガンバレ!東北!
ガンバレ!日本!
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