いつもの木曜の男の出番でごわす。
つい先日、遅い時間に帰路についていた時のお話。
私はよく、ホームレスからお金やタバコをたかられます。
ですが、その度に冷たく突き放すのです。
愛の無い人と言われようが、なんと言われようが、
私はどうも与えることができないのです。
誰かを喜ばせた褒美としてお金を得るものなのだと思っています。
「なにもせずに、誰かの優しさに甘えて金品をいただこう。」
という考えに応えることに、イマイチ納得いかないのです。
駅へと向かっていたある夜。
目の前にとっても薄汚た男性をみつけました。
上半身裸に短パンにサンダル。
上半身は灰かなにかで著しく汚れています。
目を合わせるとタカられると思った私は、
いつものように、無視してまっすぐ通り過ぎます。
やはり、後ろから私を呼ぶ声が聞こえます。
聞こえないフリをして構わず歩きますが、
それでも、彼は私を呼びます。
私は観念して足を止め、振り返りました。
険しい顔で。
どうせ、お金をくれ。タバコをくれ。
なんて言われるんだろう。
上げたところで、感謝の言葉もなく、
「神様がきっと、あなたを守ってくれるでしょう。」
なんて、納得できない言葉をもらうんだろう。
絶対に断ってやる。
そんな意志を込めた表情の険しい表情でした。
ところが、その男性はすまなそうな表情で、
「火を貸してくれ。」
と、片手にどこかで拾ったような吸いかけのタバコを持って言ってきます。
私は、その言葉を聞いたとき、ヒドく後悔しました。
この男性は火を貸して欲しくて、ただそれだけで私を呼び止めた。
身なりや容姿やふるまいだけで、私は金品を請求される。と判断しており、
そんな自分がとても悲しくなりました。
せめてもの償いとして、風除けの手を添えて彼のタバコに火をつけました。
彼は満足した表情で、
「ありがとう。」と言ってくれました。
やはり、一旦は話を聞くべきですね。
ひょっとしたら、道を聞いてるのかもしれない。
単なる話をしたいのかもしれない。
格好だけで判断して、冷たくあしらうなんて、
そんな可哀想な人間になるところでした。
木曜の男はひどく反省した日でした。
楽々サンパウロで私の頬を叩いてくれ。
では一句
ホームレス
教えてくれて
ありがとう。
体に気をつけてね。
では、また木曜日にお会いしましょう。
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(ネット版の更新が遅れております。申し訳ありません。)
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