ふぉっふぉっふぉっ。
わしゃ、
水曜のじじぃじゃ。
木曜の男ではなくてすまんかったのー。
ブラジルの日系社会からの苦言を言いたくての。
ちょいと、この場を借りるぞ?
世の中には
バックパッカーと言われておる、
世界中をバックパック一つで旅をしておる者達がおるそうじゃな。
バックパッカーの者達は、貧乏旅行が常なんかのぅ。
安いチケットや安い宿を探して旅をしているらしいのぅ。
その努力たるや見上げたものじゃ。
それにのぉ、世界を知るってことは一つの素晴らしい経験じゃ。
わしみたいに歳を重ねてからじゃ、なかなかそんな無茶な旅なんてできんしのぉ。
ある程度、金ができる中年の頃でもムリじゃったわ。
仕事もある、家庭もある、まとまった休みなんて日本じゃムリだったしのぉ。
若いうちに、できるうちにいっぱいいろんな経験をするがよいぞ。
いやいや、すまんかった。年寄りの愚痴みたいで。
本題じゃがの、
ブラジルには
県人会という、各都道府県の日系人が作った環境がある。
アメリカにもあるそうじゃのぉ。世界の日系社会がある所にはあるもんなんかのぉ?
アメリカの事情はよう知らんが、ブラジルにある県人会の中には宿泊施設を用意しているものもある。
ホテルより格安で、ネットもできて、キッチンも使えて、バックパッカーにとっては最高の宿泊施設じゃ。
しかしのぉ、県人会を管理している人達は口を揃えて、君達バックパッカーを
嫌がるのじゃ。
「旅行者?泊めん泊めん。
バックパッカー?なおさら泊めん。」とな。
理由はな、君たちが
散らかし汚し、壊し、使いっぱなし、
騒ぎ、人のモンを勝手に使う。
というマナーに起因している事がほとんどじゃ。
「最近の日本の若者はこんなんなってしまったんか・・・。」
と
多くの人が
ガッカリし、
怒り、
拒絶しておる。
そもそも、県人会というものはの、ホテルじゃないんじゃ。
君達日本人の大先輩の方々が、移民として来て、
文化も言葉も違う中一生懸命働き、 助け合えるようにと日系社会を作り、
私達日本人の子孫がこの地に来ることがあったら面倒をみてやろう。
そんな気持ちで県人会という施設や環境を作ったんじゃと、わしゃ把握しておる。
ブラジルに研究や留学でくる者もおるじゃろう、(最近はサッカー留学で利用する者もおるのう。)
ブラジル人との間で生まれた日系人が親と離れても勉学に専念できるように、安く宿泊できる場所を提供してやろう、
そんな日本人や日本に関わる者達のために、大先輩達が作り上げてくれた施設・環境じゃ。
これらはな、営利目的ではなくてな、必要最低限の経費を確保するためにお金は徴収するが、
ほとんどは日系の仲間・子孫への奉仕精神で運営しようとなっておる。
ところがじゃ、
日本からのバックパッカーの者達は好き放題使いよる。
キッチンを使っても汚したままじゃ。
生ゴミなんて排水溝のネットにそのままじゃ。
汚すだけ汚して掃除なんて全くせん。
冷蔵庫から留学や仕事で利用しておる生活者の食材を勝手にくすねる。
深夜、みな寝静まっておるにも関わらず騒ぐ。
扉の開け閉め一つから気配りすら感じられん。
電気は使わないにも関わらずつけっぱなし。
風呂は汚しっぱなし。
備え付けの食器類は壊す。
電話を勝手に使って膨大な費用を請求される。
もう、わしも話しながら悲しくなるからこの辺でやめておくが、
その君達が汚したものを片付けるのは誰じゃ?
県人会の者や、そこで生活しておる者が清掃したり、片付けておるんじゃ。
あまりの汚れに辟易するから、掃除婦を雇ったりして対処しておるんじゃ。
余裕などないのに、その費用を捻り出しておるんじゃ。
よいか?これらが続いてどうなるか想像するんじゃ。
経費が増→家賃・宿泊費を増額→長期滞在者の生活環境が悪化+財布を圧迫→
長期滞在者は退去
→県人会は安定収入を失う→旅行者達を嫌う→
いっそ宿泊施設やめるか。
という君達にとっても、ブラジルに渡って必死で生活している日本人にとっても、
最悪の螺旋に陥いっておるのじゃ。
(ある県人会はとても汚いって?ありゃ、君達の悪行の蓄積のせいじゃ。)
君達バックパッカーは広い世界を見て、日本では経験できないことばかりで夢の中なんじゃろう。
しかし、やはり現実の中に生きておるのじゃ。ルールもある。マナーもある。
気は大きくなっておるかもしれんが、そこには仕事で利用している人や勉学で利用している人もおるんじゃ。
「旅の恥は掻き捨て」か?なんてカッコ悪い考え方なんじゃ。
「来た時よりも美しく」という言葉は、もう日本では習わんのか?
日本人のバックパッカー全てがこのマナーとは、さすがには言わん。
しかし、
日本人のバックパッカーに高確率で多いのは事実なのじゃ。
主に
オスじゃがの。
日系人が日本人に憧れて、日本に恋しておったとしても、
君達が失恋と失望のきっかけを作るのじゃ。
「日本人の若者ってこんなんなの?」
なんて、よう言われる。悲しいかぎりじゃ。
わしの知っている日本におる若者達は、海外に出たこともない田舎モンかもしれん。
しかしの、礼儀もマナーも思いやりも大事にしとる。
「日本人の若者がそうではなく、日本のバックパッカー達がこんなんなんじゃっ!!」
って答えたくなる、わしの気持ちは慮ってくれるかのぉ?
ブラジルにおる君達の大先輩達が、未来の君達や子孫を想い、
築き上げたシステムや制度・環境を、君達が見事に壊しておるのじゃ。
そして、君達の子孫にはこの恩恵は受け継がれないかもしれんのじゃ。
まるで君達が悪意を持ってバトンやタスキを投げ捨てておるかのようにしか、
わしには見えんのじゃ。
わしゃ、悲しい。
世界一周ってそんなにスゴイことなんかのぅ?
世界一周を自慢気に話す者達に、わしゃいっぱい出会うておる。むしろ食傷気味じゃ。
いっぱいおるって事は、自慢にもならんと思うが、どうなんじゃろう。
そりゃ、日本に帰ったら珍しいから、自慢になるかもしれん。
しかしじゃ、 そもそも金さえあれば世界なんてどこでも行けるんじゃ。
日本の国の貨幣価値とパスポートの信用があればこそじゃ。
そんな 今の日本を作ったのは先輩達じゃ。君達じゃない。
その恩恵を受けてもなお、旅先で日本の価値を落とすんじゃろう?
なんて空しくなる話じゃ。
世界を知っておる者がカッコイイなんて勘違いしておらんか?
そりゃ知らないより知っておった方が良いかもしれん。
「井の中の蛙、大海を知らず。」なんて
自慢気にその口で語ったりするんかのぉ。
あれには、後付けではあるが次の言葉が続くそうじゃ。
「されど、空の深き(青き・高き)を知る。」
わしはこの言葉がとても好きじゃ。
見る対象が広いと、わずかな汚れや綻び、カビには気付きにくいじゃろ?
それらが侵食し始め、広がり、大きくなってやっと気付くんじゃ。
気付いた時には取り返しつかんかもしれんがのぉ。
見る世界が狭くてもじゃ、そこにある出来事や物事を注視しやすく、小さな事も大切にできるもんなんじゃと、わしはこの言葉を捉えておる。
どうも、じじぃになると話が長くなってしまうのぉ。困ったもんじゃ。
とにかく、
バックパッカーで来る日本の若者達よ。
君達は、嫌われておる。
その事実と理由を伝えたかっただけじゃ。
それだけじゃ。
木曜の男よ、お邪魔したのぉ。ほなまたの。